トビハゼやムツゴロウは英語でなんと言うのか?

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2355toby トビハゼ「トビー」のほぼ毎日更新


実は「トビハゼ」の英語表現は「mudskipper」そのものではありません。

Toby the mudskipperを名乗っておいてなんですが、実は「トビハゼ」の正しい英語表現は「mudskipper」そのものではなかったりします。と言いますのも、mudskipperは実はトビハゼやムツゴロウをひっくるめた言い方「総称」です。イメージとしては「カブトムシ」や「クワガタ」ではなく「甲虫」あたりに相当するのがmudskipperであり、無理やり日本語に無理矢理直すと「泥の上に住んで、ぴょんぴょん跳ねている魚」です。つまり、泥干潟の上でジャンプしているやつは、トカゲハゼも含めてみんな「mudskipper」なのです。

ちなみに、岩場をぴょんぴょんしている「ヤセタマカエルウオ」なんかはrockskipperと呼ばれます。なんて分かりやすい! この分かりやすさがやはり英語の世界言語たる所以なのでしょうね。 みかんとオレンジを使い分けている日本語には、到底マネできない分かりやすさ。

(下図:mudskipperはトビハゼもムツゴロウも含んでいる総称)

ただほとんどの西洋人にとって、mudskipperは彼らの近くには住んでいない、あまり親しみのある種ではありません。 だからmudskipperを知らない可能性が高いです。 マングローブなどの汽水林は知識として知ってそうですが、アジアに点在する広大な泥干潟(有明海を思い浮かべてください)は知らないと思いますので、我々の英語力を活かすいい機会かもしれませんね!

それに対し、アジアでは「あー弾塗魚ね」とか「あー、Ikan Tembakulね」とmudskipperは親しみある魚です。


日本語の「トビハゼ」も総称の場合とある特定の種を指す場合があります

日本語の「トビハゼ」は、「ミナミトビハゼ」「トビハゼ」をまとめた総称的な呼び名の場合もあります(特に南西諸島などにおいてその傾向が強い)。 特に、沖縄・南西諸島ではトビハゼではなく「トントンミー」と呼ばれていて、「ミナミトビハゼ」と「トビハゼ」の両方をさすケースが多いとのこと。 「トントンミー」はおそらく、中国語の「弾塗魚」(タントゥンユ)が訛ったものだと考えられます。

個称としてのトビハゼは、shuttles hoppfish, shuttles mudskipperなどが正しい。 というか、hoppfishだけで通じます。このshuttles hoppfishと言う呼び名は学術系の世界でよく使われますが、学名はちゃんと別にあって Periophtalmus modestus と呼びます。

まとめるとこんな感じです。

|日本語|学名|英語| |トビハゼ属|Periophthalmus |(相当語彙なし)| |トビハゼ(総称)|(相当語彙なし)|(相当語彙なし)| |トビハゼ(個称)|Periophthalmus modestus |shuttles hoppfish, shuttles mudskipper| |ミナミトビハゼ|Periophthalmus argentilineatus|barred mudskipper, silverlined mudskipper| |(相当語彙なし)|(相当語彙なし)|mudskipper(総称)|

そのほか、ムツゴロウの英語はGreat blue-spotted mudskipper、 ミナミトビハゼの英語はSilverlined mudskipperです。

mudskipperの日本語を無理やり作るなら「泥の上でぴょんぴょん跳ねる魚」でしょうか。 ちなみに、skipperでなくflying fishと呼ぶと、「トビウオ」になってしまいます。

ドイツ語でも「泥の上でぴょんぴょん跳ねる魚」という意味で呼ばれているそうで「Schlammspringer」と呼ぶそうです。 ドイツ語だけは、トビハゼ族・ムツゴロウ族・トカゲハゼ属が含まれるoxudercinae亜科に相当する語彙も持っていて、「Schlammspringerverwandten」というそうです。

ちなみに、oxudercinae亜科の一部だけが、mudskipperと呼ばれますのでこの包含関係もまたややこしいのです。

トビハゼの各国語対照表・和名学名対照表というのを作りました。よかったらご覧になってください。

トビハゼの各国語対照表・和名学名対照表


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